6月以来、2カ月ぶりに東京へ行った。今回の上京では2人の人物に会ったのが収穫。
一人は前の会社の後輩。彼は前の会社からネット系企業に転職し、別のネット系企業を立ち上げた。それを10年近く経営している。現在の景気で、経営は厳しいようだが、持続している姿は立派。大いに見習いたい。
もう一人は、以前沖縄に住んでいたときに知り合った台湾人。本国への転勤が決まったため、その前にとランチを共にした。給与がドル建てとかで、最近の円高は、日本に住んでいた彼にとって大きな経済的圧力になっていたようだ。今度は台湾元建てだから、少しは楽になるだろう。彼と話し、台湾と中国の経済交流が深まっていることや、沖縄と日本の関係を改めて考えさせられた。台湾では来年1月に行われる総統と国会議員の同時選挙が大きな焦点になっているらしい。
彼ら二人と話し思ったのは、地球は間違いなく狭くなっているということだ。例えば米国の債務上限引き上げ。思えば、このニュースはそれほど大きく取り上げられなかったような。もし引き上げられなかったら、どうなっていたか。債務不履行(デフォルト)である。中国に次ぐ債務国である日本は、借金を返してもらえなくなるわけであるから日本の価値はまた下がるであろう。日本国債は暴落する。つられて株も暴落する。
このランチに同席していた人は「俺なんか年金を国債で運用しているから年金が出なくなる。大変なことだ」。最近の日本企業は企業年金の個人運用(確定拠出年金)が主流だから、一般の投資家以外にも影響を被る人は多い。
第一の債務国である中国の影響はどうか。今や中国が“風邪”を引いたら“肺炎”になりかかるような国も少なくないのではないか。わが国が受ける影響も小さくないであろう。また現在の円高。76円。尋常な数字ではない。今、日本から海外へ旅行すると、すごく割安感があるらしい。その陰で、トヨタは大赤字だ。日本に工場を持つ輸出産業は「やっていけない」と言う。震災で倒産する企業が増え、失業者が増えているが、その失業者を雇用する日本の工場はない、ということだ。円高で輸入品は安くなるはずなのに、インドや中国の消費が増え、穀物は値上がりしている。原油も安くならない。
はっきりしているのは、円高や小麦、油の値上がりは海外の動向に連動しており、もはや日本国内だけで経済を考えることは不可能だ、ということである。この経済の動きは以前からの流れだが、昨今はすぐに伝わる、という点が違ってきている。今回の原発事故で、日本からの輸出品は農産物はもちろん、それ以外も影響を免れないだろう。東北以外への観光客も減る。海外のどこかのバス事故で日本人が被害にあったりすると、その国全体への旅行を控えてしまう風潮は、海外の人にも共通する傾向である。いまや、作物の生産、工場の稼働、商品の流通・・・すべてを地球規模で考えることが求められているのだ。これからどうなるのか。その答えを手探りしながら考え、事を進めることが、我々には求められている。