2010年7月26日月曜日

シカン、そしてインカ

仙台市博物館で開かれているペルーの黄金都市シカンの展示を見てきた。TBSが昨年7月から全国で展示している。今はちょうど仙台で見られる。

ペルーの北沿岸部で西暦1000年ごろに栄えた文明、シカン。発掘された墓からは、埋められた人以外に、人の顔を模した土器や黄金の仮面が見つかった。

この展示を見た日、たまたま以前録画したインカのTV番組を見た。

インカはシカンの後に同じペルーで発達した文化。高原都市クスコが首都。

番組によると、インカはミイラによって栄えた、という。どういうことかというと、国の統治者が亡くなると、ミイラにしてあがめ、それによりその周囲の人間は同じ地位を維持したという。最高位者がミイラであるから、後継者は他の土地に進出し、そこで亡くなると、またミイラにされ、そのミイラを守る者の存在を守った。

このようにしてミイラ文化は全国に広がって行った。

そして興味深いのは生贄の歴史。その当時、インカの地方都市では神々に大切なものをささげる文化があった。首都クスコがその地方を統治するためにやったことは、クスコに住まう貴族の子供を生贄として差し出したこと。

そのミイラが数千メートルの山々に残っていた。子供たちはきれいな衣装に身を包まれ、クスコから地方の山に連れて来られ、酒を飲まされ、眠りこけて死んだという。寒冷の山から発掘された子供のミイラは、肌つやもよく、まだ死んだばかりのよう。

やがてインカはスペイン支配の前に滅びてゆく。その背景にはミイラによるインカ支配に抵抗する地方組織があったという。

番組は、インカはミイラによって栄え、ミイラによって滅んだ、と結んでいる。

写真はシカンともインカとも無関係のシーラカンス。いわきアクアマリンのはく製。

2010年7月4日日曜日

RE2010


6月27日から2日まで横浜のパシフィコ横浜で開かれた再生可能エネルギー2010国際会議に出席してきた。

30日からは、すぐ隣の展示場で、新エネルギー世界展示会と、太陽光発電の総合イベントPVJapanが始まり、毎日1万人以上の人を集めていた。

国際会議の方は、太陽や風力、地熱などの研究者が集まり、それぞれの研究成果を発表。議論を交わした。

展示会の方は、太陽光発電のPVJapanの規模が圧倒的に大きく、追い風の業界であることを示した。

興味深かったのは、家畜の糞尿を効率よく燃やすために乾燥化する技術や、家畜の糞尿からガスを取り出す技術。堆肥だけでは消化しきれない家畜糞尿を再生エネルギーとして利用する技術は将来、必須のものとなろう。

改めてなぜ再生可能エネルギーが必要か、を考えると、一つは地球温暖化問題。もう一つはエネルギーセキュリティー問題、が背景にある。

地球温暖化については、それを否定する意見もあるが、CO2など温室効果ガスが大気を多い、地表温度を高めている、というのはどうも本当であるようである。長い地球の歴史から見れば、現在の温度はそれほど高くないらしいし、人間など現在の動植物が死滅しても、別の生き物が生成される可能性もある。しかし、現在の動植物を守ろう、救おうとすれば、温室効果ガスの削減に努めなければならない。

エネルギーセキュリティー問題は、自分たちのエネルギーは自分たちで生み出そう、ということ。一部の産油国やオイルメジャーなどに頼り切っていれば、自分たちの暮らしが危うくなるから、自活しようということだ。ロシアの天然ガスに頼っているヨーロッパの国々が、ロシアの意向で燃料を止められるという事態があったが、ああいうことに対する防衛措置である。

地球温暖化対策、CO2削減については、現時点では再生可能エネルギーだけで賄うのは無理そうである。原子力発電の利用を組み入れれば、CO2削減に大きく役立つから、安全に十分配慮しながら原子力発電を利用することが必要ではないか。

その上で、足りないエネルギー分を再生可能エネルギーに頼る。もちろん再生可能エネルギーで原子力発電の分も賄えるようになれば、それにこしたことはない。

もう在庫が見えている化石燃料は、単純に燃やすのではなく、石油でなければできない加工品の利用などに限定すべきなのだ。