麻生太郎首相は10日、温室効果ガス排出量を2020年までに、2005年の排出量13億6000万トンより15%削減する、と発表した。
この数字は、京都議定書の基準年である1990年の排出量12億6100万トンからみると、8%減の目標。
環境省の最新発表では、2007年度の温室効果ガスが13億7400万トンで基準年を既に9%上回っている。
だから京都議定書の目標である2008~12年に基準年の6%削減を達成することは、実は大変難しいのである。
ところが、世界的にみると、この15%削減目標は、「ふざけるな」ということらしい。ちょうどボン(ドイツ)で、国連気候変動枠組み条約特別作業部会がポスト京都議定書について話し合っていた。ここで、日本の「15%目標」が報告されると、早速批判のやり玉に挙がった。会場にいたNGOは「きょうの化石賞」の2位に日本を選んだ。
では2020年における2005年比15%減達成は実現不可能か? 今から10年後である。と考えると、可能な数字ではないか。今の技術が続くわけではない。10年後、電気自動車が一般的になっていないか。ひょっとしたら原発が見直され、原子力発電が広がっているかもしれない。などと、つらつら思い浮かべると、もっときつい目標も達成できそうである。
振り返ってみれば15年前の1994年。東京で初のインターネット展示会、Interopが開催された。あの頃、世のシンクタンクは10年後にネットを利用した社会が大きく広がると予想していた。実際、そうなったのである。これから10年もあれば、イノベーションの力で実現可能な数字であろう。
今後、この15%は7月のラクイラ・サミット(イタリア開催)で審議され、12月にコペンハーゲン(オランダ)で開かれる国連気候変動枠組み条約締結国会議(COP15、1997年の京都会議はCOP3)を経て、正式な目標数字に入れ替わる。はたして、ポスト京都議定書は何%になるのか。
(写真は茨城の住宅地にあるカフェ、ラ・ファミーユ)