自分で野菜を作り、自分で鶏を育て、自分で料理する。
それを実践したい。
そんな思いがある。
しかし、経験はない。
山形県山辺町の1500坪の農園で鶏を飼うSさんに、鶏を絞める際は見せてほしい、とお願いした。
Sさんは最初、嫌な顔をしたが、「将来、(鶏を)自分で育て、自分で料理したい」と理由を説明すると、了解してくれた。
そのSさんから先月、電話があった。12月に鶏を絞めるから来るか、と。絞めた鶏はクリスマスに間に合うよう燻製にするから、10日ごろから15日までがよい、とも。
日程を調整し、今日13日、山辺に出かけた。
10時の約束だったが、9時半ごろ着くと、Sさんはすでに4羽の鶏をつるし、うち1羽の毛をむしっていた。
以下は鶏をさばく手順。
飼っている鶏を昆虫用の網で捕獲し、足を縛り、逆さにつるす。
鶏の頸動脈を包丁で切り、血を落とす。
その鶏を80度のお湯に20秒ほどつけて、毛をむしりやすいようにする。
この際、何度か上下し、毛元にお湯がよく浸かるようにする。
ただし時間が長いと、煮てしまうことになるので注意。
お湯につけた鶏は毛がむしりやすい位置に逆さにつるし、毛をむしる。手でむしれない場合はピンセットを使う。最後、細かい毛はバーナーで焼き切る。
次に関節の筋を切り、腿肉、手羽先を切り分ける。さらに心臓、肝臓、砂肝を取り、他の内臓や首、足は捨てる。
骨はガラとして取っておく。
腿肉や手羽先も骨と肉を切り分ける。
以上で終了。
魚料理と違って、まったく臭くない。
鶏肉自体は見慣れているので、それほど違和感はない
違和感が若干あるとすれば、見たことがない内臓を目にすること。
先ほどまで生きていた鶏だから、食べた直後の野菜なども出てくる。
作業中は、鶏の油で包丁が切れなくなるから、包丁は何度も研ぎ直す。
寒い外での作業で手がかじかむが、鶏のいのちをいただくのだ、と思うと、そんなことはどうでもよくなる。
そう。我々は、こうして、いのちをいただいているのだ。
その行為を知り、いのちの大切さを知る。
それはとても大事なことである。
帰り、Sさんから1羽分の肉とガラをいただいた。
家に帰ったら、父親が張り切り、調理に取りかかった。
これはとても珍しい。
昔々、自分で鶏を絞め、料理した経験があるからだろう。
砂糖、酒、醤油で味をつけたスープはとてもおいしかった。
写真は烏骨鶏。真っ白な羽をむしったら、黒い皮が現れた。